遊びから学ぶこと


1.遊びを通して育つ

子どもたちは遊びを通してさまざまなことを学び成長してゆきます。
”泥だんご作り”ひとつとってもそのことを感じる場面があります。
まん丸で立派なおだんごを作る大きい組の姿を見て、「先生おだんご作って」といいに来る小さい組の子どもたち。大きい組の子に作り方を聞くと、「砂にみずをかけてトロトロを作ったら ぎゅっぎゅってまあるくしてね。それから砂をかけて・・」と上手に教えてくれます。小さい子が説明だけでは作れないことが分かると
「つくってあげようか」と優しい姿。作ってもらった子もそのおだんごを大事に手のひらに乗せ、嬉しそうな姿。
しばらくすると砂場でおだんごを作り始める小さい組の姿を見かけるようになります。手元はつたなくかたまらず、すぐに手の中で崩れてしまいます。何度か繰り返しているうちに”できた”と自分で作れたことに喜ぶ姿。”できたね!”私たち保育者も一緒に嬉しくなります。
また、上手くかたまらなかったり、せっかく作ったおだんごを落としてしまい涙になることも多々あります。
そんな時「また作れば大丈夫だよ」「一緒になおしてあげるよ」と声をかけてくれるお友だちの存在に助けられます。
ひとつのあそび(事)を「ああでもない、こうでもない」「こうしたらどうかな」と考えながら向かうことは子どもが育つ上で大切ですね。本太幼稚園にはそういう時間がたっぷり保証されています。


2.あそびを通してイメージを共有することの楽しさを知る

何人かで砂場で山を作り始めると、それを見てさまざまなイメージがふくらむ場面が幼稚園ではよく見られます。
一人がシャベルを電車に見立てて走らせる。それを見たもう一人もシャベルを電車にして一緒に走らせる。
そのうち線路ができ、トンネルができ、盛り上がると砂場を飛び出してお庭中に線路ができることも・・。また、シャベルの電車では満足できず自分が電車になってしまうなんて姿もあります。
自分が”こうしよう”、”こうしたら面白そう”と思ったことと同じように思っている友だちがいる。
”君もそれが好きなの?”、”楽しいことが一緒なの?”響きあう心地よさは、得も言われぬ嬉しい発見!喜びの瞬間!こうした繰り返しの中で、お友だちが大好きになり、幼稚園が大好きになり、年長組になるころには楽しい遊びを友だちとするために、自分をおさえることや相手の思いを大切にできる人に育っていきます。


3.あそびを通したお友だちとのやりとりの中で自分を知り、相手を知る

遊びに興じ夢中になると、自分の思いを言葉にして「こうしよう」と相手に提案したり、「こうすると面白いよ」と考えを伝えられたり、「こうして」と言われても嫌なときには断れるようになってり・・
「あれ?ぼくこんなこと言えるんだ!」「私嫌いだって言えた?」その姿に保育者としても嬉しくなる場面があります。 その分、相手とぶつかることも増えてきます。その中で、自分はこうしたかったのだなと自分の思いを確かにしたり、でも相手はそうではなかったのだなと相手の思いも感じられたり・・。 その繰り返しの中で
自分はこうしたいけれど、相手はどうかな?お友だちの考えが面白そうだからそっちの方法にしよう!などと
自分を主張するだけでなく、相手との思いの調整ができる人に育っていきます。
私たち保育者はやり取りできる場面を大切にし、言葉が足りないときは補い一人ひとりの心がそこに
向き合っていけるように時間をかけ援助しています。


4.遊びを通して自分なりの考えや方法を持ちつつ、友だちと一緒に展開する喜びを知る

例えば、粘土でそれぞれ好きに形を作って遊んでいる場面。
ある子はクッキー、ある子はメロンパン、またある子はお好み焼き・・。同じ机で思い思いに楽しんでいると、誰かが「お店屋さんにする?」と提案。その一言がそれぞれに楽しんでいた数人の子どもたちのイメージにピンと来て「いいね!」「看板を作らないと」「いくらにする?」「ちらしもあるといいね!」「レジは?」「持ち帰る袋は?」「お客さん呼びに行こう!」次々にアイディアが浮かびます。子どもたちの手元は作ることが楽しくて!という様子でいっぱい!!
”お店屋さん”という共通のイメージを持ちつつ、それぞれにアイディアを出し手を動かす姿は本当に生き生きと自分のやりたいことを表現している最高の瞬間です。
進めていく中で小さいお客さんとのやりとりがうまくいかなかったり、品物が足りなくなったり、材料の粘土が足りなくなったりとスムーズに進まないことも出てきます。 子どもと共にどうしよう?と悩み,子どもたちが工夫したり次への展開を考えられるように,保育者は援助したり見守ったりその場面を支えるようにしています。
楽しいだけでなく、つまづいたり上手くいかないときこそ考える力も育ちます。力を合わせる喜びも知り,自分の力で乗り越えた達成感などが自然と身につき,喜びとなり、自信へとつながります。